温泉も豊かな河川の恵み

 温泉には雨の水がたくさん必要です。
 それから、雨水を地下で温めるための裂け目や断層を持つ古い火山も、もちろん必要。伊豆半島は日本でも有数の多雨地帯であり、断層もたくさんあるために、温泉が豊富に出るのです。
 河川のある風景や河川の流れを巧みに利用した旅館が数多くある伊豆半島は、日本を代表する観光地のひとつとなっています。天城湯ヶ島町は、修善寺や伊豆長岡温泉とともに、狩野川沿いにある伝統ある温泉地といわれ、昔から地元の人々や多くの湯治客に利用されていました。この地が湯治場から観光地へと変貌したのは川端康成の「伊豆の踊子」に代表される文人墨客を受け入れたこと、交通面では「丹那トンネル」の開通が果たした役割が多い、と言われています。
 
 
 

名作も多く生まれた土地柄

 風光明媚なこの地には、明治時代から数多くの文人墨客が訪れています。
 島崎藤村、川端康成、梶井基次郎、宇野千代、若山牧水、井上靖など当時としては新進気鋭の作家が「湯道」で構想を練り、人々や自然とふれあう中で、「伊豆の踊子」、「しろばんば」などの作品が生み出されました。
 このほか、鎌倉幕府を開いた源頼朝が永暦元年(1160)に流されてきたのもこの地。蛭ゲ小島は韮山町です。
 日本の歴史に足跡を残し、また日本近代文学史上、いくつもの傑作の舞台となってきたことを、数多くの文学碑や記念碑、史跡から伺い知ることができます。